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2026/01/20 17:16

オンファン・ソヴァージュ(Enfants Sauvages)/ フランス ルーション地方

当店で取り扱っている、ナチュールワインの生産者をご紹介していきます。
今回はフランス ルーション地方の オンファン・ソヴァージュ (Enfants Sauvages)  のご紹介です。

— ガリッグの海に浮かぶ“野生の畑”から生まれる、純粋なるルーションのワイン

フランス南部、地中海とピレネー山脈に挟まれた乾いた大地、Roussillon(ルーション)
この地に、“野生児たち”を意味する名を冠した小さなドメーヌ Enfants Sauvages は存在します。その名の通り、彼らのワインは文明的な技巧よりも、自然の息遣いと土地の生命力をそのまま瓶に閉じ込めたかのような、どこまでもピュアな表情を湛えています。

ドメーヌ誕生の物語 ― 人生を変えた一つの畑

ドメーヌ・オンファン・ソヴァージュを立ち上げたのは、ニコラカロリーヌの夫妻。
もともと二人はドイツで工業系の仕事に就き、安定した生活を送っていました。ワイン造りとは無縁だった彼らの人生が大きく舵を切るきっかけとなったのは、南仏で「別荘を探していた」ことでした。

偶然出会ったのは、畑付きの小さな小屋。
それは小高い丘の頂上にあり、ガリッグと呼ばれる地中海性低木に360度囲まれた、まるでガリッグの海に浮かぶ二つの島のような場所でした。この圧倒的な景観と土地のエネルギーに触れた瞬間、二人は「ここで生きる」ことを決意します。

安定したキャリアを捨て、ゼロからワイン造りの世界へ。
オンファン・ソヴァージュは、こうして“理屈ではなく直感”から始まった、極めて人間的なドメーヌなのです。

孤立した畑 ― 理想的すぎる自然条件

彼らの畑は、ルーションの中でも特に珍しい環境にあります。
周囲に隣人となる畑はなく、外界からほぼ完全に孤立した区画。土壌は粘土石灰質で、乾燥した気候と強い日照、そして常に吹き抜ける風が、病害のリスクを大きく下げています。

この環境のおかげで、農薬や除草剤といった外部からの影響はほぼ皆無。
畑における彼らの基本方針は、ただ一つ。

自然との共存、そして生物多様性。

畑にはブドウだけでなく、野草、低木、昆虫、小動物が共存し、生命の循環が自然に保たれています。人が「管理」するのではなく、自然が自然でいられる状態を見守る
それがオンファン・ソヴァージュの哲学です。

20年かけて育てた“我が子のような畑”

この畑は、一朝一夕で完成したものではありません。
ニコラとカロリーヌは、20年という歳月をかけて、石を拾い、土を耕し、剪定を繰り返しながら、畑と対話し続けてきました。

手を入れすぎない。
しかし、放置もしない。

その絶妙な距離感の中で育てられた畑は、訪れる人が口を揃えて「これまで見た中で最も美しい畑の一つ」と評します。
人工的な整然さとは真逆の、野生の秩序。それこそがオンファン・ソヴァージュの畑の魅力です。

家族で行うワイン造り

現在では、成長した二人の息子もワイン造りに参加。
畑仕事から収穫、醸造に至るまで、可能な限りの工程を家族の手作業で行っています。

機械に頼らず、人の感覚を信じる。
それは効率とは正反対の選択ですが、その分、畑やブドウの小さな変化にも敏感でいられると言います。

この“家族単位のスケール感”こそが、オンファン・ソヴァージュのワインに宿る温度感と誠実さを生み出している要因でしょう。

醸造 ― 介入を抑えた、極めてナチュラルなアプローチ

醸造においても、彼らの姿勢は一貫しています。
収穫はすべて手摘み。選果は畑とセラーの両方で行い、自然酵母のみで発酵。補糖や補酸は行わず、SO₂の使用もごく最小限に抑えられています。

抽出は控えめで、果皮や種の要素を無理に引き出さないスタイル。
その結果生まれるワインは、ルーションという力強い土地にありながら、酸とフレッシュな果実味が際立ち、驚くほど軽やかで透明感があります。

ワインの印象 ― “純粋”という言葉が似合う味わい

オンファン・ソヴァージュのワインを表すなら、最もふさわしい言葉は「純粋」。
過剰な熟成香や人工的なニュアンスはなく、グラスから立ち上るのは、果実、ハーブ、乾いた大地、ガリッグの香り。

飲み進めるほどに、
・喉をすっと通る透明感
・自然な酸の伸び
・身体に染み込むような心地よさ

が感じられ、飲み手に不思議な安心感を与えます。

ルーション自然派の中での存在感

ルーションは個性派ワインの宝庫ですが、その中でもオンファン・ソヴァージュは特別な存在です。
強さやインパクトを競うのではなく、土地と生き方をそのまま映すという、極めて誠実な方向性。

それは派手さとは無縁ですが、飲む人の記憶に深く残るタイプのワインです。
自然派ワインに慣れ親しんだ人ほど、この“何も足さない完成度”に心を掴まれることでしょう。

ワインで語られる、一つの人生

Enfants Sauvagesのワインは、単なる飲み物ではありません。
それは、ドイツでの安定した生活を捨て、家族で自然と向き合う道を選んだ二人の人生そのものです。

ガリッグに囲まれた孤高の畑。
20年かけて育てられた土壌。
家族の手で造られる、嘘のないワイン。

オンファン・ソヴァージュは、ルーションという土地が持つ“野生の美しさ”を、最も純粋な形で伝えてくれる生産者の一人です。
静かで、強く、そして優しい――そんなワインを探している方に、ぜひ体験していただきたいドメーヌです。


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